着物に興味があるけれど、「女着物の着付けが難しくて挫折…」「華美な女物の着物が苦手…」など、着物にチャレンジ出来ない女性は多くいます。そんな悩める女性に僕から一言。
「男着物なら気軽に着物を楽しめます!」
「えっ?」と思われるかもしれませんが、最近ではジャンルを問わず性別に囚われないファッションが広まっていますよね?着物でもその流れは来ています。
古くは女性の演歌歌手が着ていることもありましたし、今でも落語の世界ではお見かけすることもあります。そして、今やインスタグラムなどの各種SNSで発信する人も増えてくました。
実は男着物の着付けをとても簡単!その上、デサインがシンプルなので小物使いで個性も出しやすいんです。もちろん女性らしさの演出も可能。
「男着物を女性が着るってアリなの?」と不安になるかもしれませんが、ファッションはなんて言ったって自由です。アリかナシかなんて自分で決めればいいんです!
というワケで今回の記事では、
- 男着物を女性が着るってアリ?
- そもそも男女の着物の違いは?
- 女性が男着物を着こなすコツ!
これらについて、できるだけ分かりやすくお話していきます。着物の魅力に沼ってしまえば、そこからは自由。女着物に再チャレンジするもヨシ、そのまま男着物を追求してもヨシ、着物の世界を楽しみましょう!
男着物を楽しむ女性が増えてきた?
最近、男着物に限らず、着物をお洒落にきこなす人たちが増えてきました。街中では正統派の着物のみならず、現代的なコーディネートで着物を楽しむ姿が見られます。
特に各種SNSでは、日常的な普段着やお出かけ着、イベントでの様子などをシェアする人も多くなってきています。これらは、着物文化がより身近なものとして見直されてきている証拠ですね!
今では、ジェンダーレスなファッションへの関心が高まる中で、男着物のシンプルさと実用性が女性の中で人気になりつつあります。直線的なシルエットは日本人に似合うように出来ていて性別を問わず美しく見せることや、余計な装飾が少ないので個性も際立たせやすい点が魅力です。
そして何より、男着物は女着物に比べて、圧倒的に着付けが簡単であること!
男着物は慣れれば数分で着られ、普段着としてちょっとしたお出かけに気軽に取り入れられます。洋服や洋小物をあわせて和洋折衷コーデを楽しむなら、着物アイテムを一式買うような出費も不要です。着物と帯と腰紐くらいあれば十分なんです。
また、リサイクル着物(古着)であれば、手軽な価格で始められることも魅力の一つ。古い着物に新しい命を吹き込むリメイクやアレンジをすれば、独自のスタイルも楽しめます。
男女の着物に違いはあるの?
では、「そもそも男女の着物に違いはあるの?」と思うかもしれないので、ちょっと解説します。着物は一見シンプルに見えますが、男女では結構違います。代表的な部分を紹介。
身丈の違い
一つに身丈(みたけ)があります。着物の首元から裾までの縦の長さ。身丈と似た言葉に「着丈(きたけ)」がありますが、着丈は着用時に見える着物の長さです。
・女着物:着付けの際におはしょり(余った部分を折り返す)を作るため、実際よりも長く仕立てられています。
・男着物:着付けでおはしょりは作らないので、基本的に身丈=着丈となります。着付けで調整せずにジャストサイズに仕立てています。
袖の違い
次に、着物独特のたれ(振り)のある袖にも違いがあります。
・女着物:大きな帯を胸の下で締めるため、袖の脇には裂け目(身八つ口)があります。これは、着付けの際に手を入れるためでもあります。振袖や中振袖のように振りが長いものもありますね。
・男着物:袖の振りは短く、実用的で動きやすさがあります。女着物と違い、帯の影響がないこともあり、袖の脇部分は閉じられています。
衿元の違い
また、衿元にも作りに違いがあり、男女で大きく印象が変わる部分です。
・女着物:着付けで衣紋を抜きます。抜き衿でうなじを見せるのが一般的です。女性的な色気や優雅さを演出します。衿の形にも違いがあり、衣紋を抜きやすい構造をしています。
・男着物:衿は直線的で首元にしっかり沿うデザイン。衿の形も棒衿のみで、シャープな印象を与えます。
帯の違い
さらに、そもそも帯を締める位置から男女で違います。
女着物:名古屋帯や袋帯といった帯を胸の下あたりで結ぶけれど、その他補正や伊達締め・帯締めなど、多種多様なアイテムでアレンジを多く、華やかな帯結びを楽しめます。男着物に比べて基本的に着崩れしないように結ぶ、着付け技術が重要。
男着物:角帯を腰骨の位置で締めるシンプルなスタイル。結び方もシンプルで基本的に着崩れ前提のため、結び直しもしやすいものです。
柄や色の違い
そして、男女の着物の違いの中で大きく印象を変えるのが、着物の柄や色の部分。ただ、最近の男着物の中には鮮やかなものが増えてはきています。
女着物:季節の花や伝統文様、絵羽模様(着物全体で一つの絵・構図となる)など、華やかな柄が多くカラフルです。視覚的な美しさは、外国の人が思うthe着物ですね!
男着物:無地や細かな柄が多く、落ち着いた色合いが多いです。シックの雰囲気が漂うものです。一方で、裏地といった見えない部分が鮮やかな絵柄をあしらう、裏勝りという粋な文化もあります。
着付けの違い
と、ここまででお気付きかと思いますが、男女の着物着付けには沢山の違いがあります。
・女着物:おはしょりや衣紋抜き、帯結びなどに小物や手順が多く、着付けに時間がかかるものになります。それは正に着付け技術であり気軽なものではありません。その分、完成度の高い仕上がりが楽しめます。
・男着物:シンプルで着付けは簡単。コツさえ掴めば、短時間でサッと着られます。着崩れ上等で、それも男の色気であり、スマートにお直しするのが粋!
男着物を女性が着るってアリ?その魅力とは?
では、男着物を女性が着る、その魅力について深堀り!
着付けが簡単!
これは先に話した通り。男着物は、着物に角帯(必要に応じて腰紐)のシンプルな構造なので、初心者でも簡単に着付けができます。今なら、Youtube動画で自主練でも、ぜんぜんイケます!
着物が自分の身長に準じており、女着物のようにおはしょりも要らず、角帯を締めるだけなので、短時間で仕上がります。始めのうちは、角帯の締め方や帯位置に苦戦するかもしれないけれど、そこだけ経験者からレクチャー受ければ十分。
シンプルだからこそ女性の小物が映える!
次に、男女問わず着物は、無駄のなく直線的で華美な装飾もない衣服です。特に男着物は、色柄も落ち着いていてシンプル!だからこそ、小物使いで個性を出すことができ、コーディネートの幅が広がります。
その小物使いに女性的な印象のものを持ってくれば、ボーイッシュだったりガーリーだったり、ときにフェミニンなスタイルに激変します。チラリとするレースや、華やかな髪飾りやアクセサリーも素敵なアクセントで映えます。
親族や彼氏の着物の再利用
実は自宅でタンスの肥やしになりがちな、お父さんやお祖父ちゃんの着物を再利用するのも面白い!喜んでもらえるかもしれないし、思い出を身近に感じられるかもしれません。もしくは、彼氏さんの浴衣を持ち出して彼借りコーデも楽しいですね!
基本的には、自身の身長に準じた身丈の着物を探すか、マイサイズに仕立て直しをすることになりますが、多少のサイズ違いは工夫次第で着こなすことも可能です(後述しますね!)。
ジェンダーレスな着こなし
現代のファッションでは、性別に囚われないスタイルは自己表現する上で当たり前です。まして、女性的な着こなしを好む好まないも自由。男着物を可愛く着ても、カッコよく着ても、いいんです。
女性向けの男着物の着こなしのコツ!注意点も!
最後に、女性向けの男着物の着こなしのコツをお伝えします。
身丈はジャストサイズ
繰り返しになりますけど、男着物にはおはしょりをしません。なので、着物選びで重要なのは身丈です。基本的に帯を締めたときに足首が隠れるか隠れない程度のジャストサイズの丈感にします。足の甲に乗っかるようでは長すぎです。
ただ、ものは工夫のしようで、短めならあえて下の衣類を見せるレイヤードスタイルや長めのカットのブーツを履くのもいいです。ロングスカートなどが裾から見えるのも楽しいですね。
一方で、反対に着物の身丈が長めなら、着物を尻っぱしょり(帯の後ろやサイドで着物の裾を持ち上げ挟む)で、大きく引き上げて下の衣類を見せてもいいかも。
身幅には補正で対応
次に、身幅といって着物の腰回りの幅。これが大きすぎると着物を巻いたときにモタつきます。こうなると、やや我慢して着るか、補正にタオルを巻くなどして対応します。理想は、着物の脇の線が自分の脇の前後5cm程度に収まるものを選びます。
着物を脇に寄せてワンタック出来るくらいのイメージです。寒い時期なら厚手のパーカーを着物下にインしてしまうのも手。
帯位置に工夫が必要
男着物は腰骨の位置でキツく角帯を締めます。ですので、女性の体型は男性に比べて帯がウエストに上がりがち。これには、身幅が大きい時と同じくタオルなどで補正をするか、もしくは角帯を押し下げるクセをつけるのもある意味カッコいいと割り切ります。
実際、男性でもウエストに角帯が上がってくるので、角帯と着物との間に親指をツッコミ、押し下げる仕草が板についてきます。この仕草を「粋(いき)」とされてきました。
または、始めから帯をウエストにする、そんな方法も。もちろん、角帯をキツく締めると苦しいので、ベルト状や紐付きで結ぶタイプの角帯を選ぶのもいいかもです。ただ、帯を上寄りにもってくると、コーデのバランスが崩れやすいので注意です。
そんな時は、「身丈の説明」のところでお話した、あえて着物の裾から下の服を見せるとバランスが整うため、トライしてみるといいです。
胸元がハダける前提で下に着る
これは、特に女性には大問題。男着物は着物を体に巻いて角帯で固定するだけの、シンプル構造です。基本的に胸元はハダける前提なので、何とも色っぽい状態は避けたいところ。
下には必ず(下着を除いて)一枚多く着ましょう。和洋折衷コーデなら、シャツでもモックネックなどでも、コーデとして楽しめます。
洋物の服と小物を活用する
手持ちの洋物の服と小物を活用すれば、懐にも優しい和洋折衷コーデになります。パーカーやシャツ、ブーツやスニーカー、キャップやハット、パンツやプリーツスカート、リュックやバック、などなど選び方次第でコーデは無限大。
そして、ここが「男着物を女性が着る」ためのキモ。小物使いのテイストによって、女性的にも男性的にも自由な振り幅でバランスが取れます。
可愛いレースの付け衿やアームカバーなどで、着物の下からチラリを見えるのも素敵です。もちろん、シンプルに男っぽくも!
普段の洋服に羽織だけプラス
ただそうは言っても、新しいことにチャレンジをするのは勇気がいること。そんな時は、男着物の羽織だけを洋服に取り入れるのもおススメ!カーディガン感覚で普段の洋服の上から羽織ることで、着物へのハードルを下げられます。
ともあれ、着物を楽しんで!
「男着物を女性が着るってアリ?男女の着物の違いを着こなしのコツ!」のまとめ
というワケで今回の記事では、男女の着物の違いから女性が男着物を着こなすコツまで、分かりやすくお話ししてみました!
最近、男着物に限らず、現代的なコーディネートで着物を楽しみ、各種SNSでシェアする人も多くなってきています。今では、ジェンダーレスなファッションへの関心が高まる中で、男着物のシンプルさと実用性が女性の中で人気になりつつあります。
そして何より、男着物は女着物に比べて圧倒的に着付けが簡単であり、普段着として気軽に取り入れられます。着物と帯と腰紐くらいあれば十分なんで、手軽な価格で始められることも魅力の一つ。
そもそも男女の着物に違いは以下。
- 身丈の違い:男着物は着付けでおはしょりなしのジャストサイズの仕立て
- 袖の違い:男着物の袖の振りは短く、実用的で動きやすさがある
- 衿元の違い:男着物の衿は直線的で首元にしっかり沿うデサイン
- 帯の違い:男着物は角帯を腰骨の位置で締めるシンプルなスタイル
- 柄や色の違い:男着物は無地や細かな柄が多く、落ち着いた色合いが多い
- 着付けの違い:男着物はシンプルに着物に角帯を締めるだけで簡単
では、男着物を女性が着る、その魅力について深堀り!
- 着付けが簡単はYoutube動画の自主練でイケる!
- 色柄も落ち着いていてシンプルだからこそ女性の小物が映える!
- タンスの肥やしの着物の再利用できる!
- 性別に囚われないジェンダーレスな着こなしで自己表現できる!
最後に、女性向けの男着物の着こなしのコツをお伝えします。
- 身丈はジャストサイズ:帯を締めたときに足首が隠れるか隠れない程度のジャストサイズの丈感だけど、短めならあえて下の衣類を見せ、反対に着物の身丈が長めなら、着物を尻っぱしょりで下の衣類を見せる。
- 身幅には補正で対応:身幅が大きすぎると着物がモタつくので、やや我慢して着るか、補正にタオルを巻くなどして対応する。理想は、着物の脇の線が自分の脇の前後5cm程度に収まるものを選ぶ。
- 帯位置に工夫が必要:腰骨の位置でキツく角帯を締めるので、女性は角帯がウエストに上がりがち。これには、タオルなどで補正をするか、角帯を押し下げるクセをつける。または、ベルト状や紐付きで結ぶタイプの角帯で、始めから帯をウエストにする方法もあるが、全体のバランスに注意。
- 胸元がハダける前提で下に着る:男着物は着物を角帯で固定するだけのシンプル構造で、基本的に胸元はハダける前提なので、下には必ず一枚多く着る。
- 洋物の服と小物を活用する:手持ちの洋物の服と小物を活用すれば、懐にも優しい和洋折衷コーデになり、選び方次第でコーデは無限大。小物使いのテイストによって、女性的にも男性的にも自由な振り幅でバランスが取れる。
- 普段の洋服に羽織だけプラス:男着物の羽織だけを洋服に取り入れるのもおススメ!カーディガン感覚で洋服の上から羽織ることで、着物へのハードルを下げらる。
ぜひ男着物を入口に普段着着物を楽しんでくださいね!