「浴衣が普段着なのはおかしい!」
和装に詳しい人の中には、そんな風に言うことも人もいますね。
その理由には、「浴衣」の成り立ちや時代背景があると思います。
とは言え、着物初心者に毛の生えた程度の僕からすれば…、
着物は自由だよ!
と思うワケです。
ただ、浴衣(着物)を知っていく中で、ちょっと注意したほうがよさそうな点が見えてきました。
この記事には、こんなことが書いてあります!
- 「浴衣」の成り立ちって何!?
- 「浴衣」が普段着なのはおかしい!?
- ある体験で気づいたこと
- 「心から楽しめたかどうか」が大切
ある体験から気付いた、浴衣を普段着にすることの「最適解」とは?
これから浴衣を楽しみたい初心者さんへ、少し先輩風を吹かします(笑)!
「浴衣」の成り立ちって何!?
そもそも「浴衣」て、どんなもの?
「浴衣が普段着なのはおかしいかどうか」を話すには、ちょっとだけその成り立ちと時代背景を知っていた方が理解しやすいです。
浴衣の始まりは湯浴み着?
浴衣の起源は平安時代。
浴衣の始まりは「湯帷子(ゆかたびら)」という湯浴み着であったよう。
今で言うサウナのような蒸し風呂に入る際に、貴族が着ていた麻の着物の事。
熱い水蒸気や湯船でやけどをしない為とか、肌を隠す為とか、汗を取る為とか、着用の理由はいろいろあったと思います。
そして時代とともに、「湯帷子」は入浴後に着られるような、風通しが良く汗をよく吸う衣服に変化していったんですね!
江戸時代になると庶民も着るように
江戸時代になると、庶民も手軽にお風呂を楽しめるような大衆浴場が登場!
この頃、綿の栽培が広がり、湯帷子の素材は麻から木綿に変わりました。
浴衣は、庶民が大衆浴場帰りの「湯上がり着」として着用していたワケ。
この頃に湯帷子の名が転じて「浴衣(ゆかた)」と呼ばれるようになったとされています。
昔は夏の普段着として定着していた!?
「浴衣」は、湯上がりに着用してそのまま外にも出るようになり、肌着から外出着へと用途が変化していきます。
そうです!
すでに明治時代には浴衣は夏の普段着として、全国的にも定着しているんです!
花見や盆踊りや夏祭りの時にファッション目的として着用し、夏の風物詩!となりました。
戦後の生活様式の変化により衰退
ここを話すと長くなるので割愛、簡単に言うと、
- 高度成長期の産業や実生活において、洋服が方が使い勝手が良かった
- 呉服業界の高級路線ブランディング戦略
- 着衣が面倒(着なくなったからというの慣れの問題もあり)
などなどの戦後の生活様式の変化により、浴衣のみならず着物全般が衰退していき、普段着としてあまり着られなくなった、という事です。
「浴衣」が普段着なのはおかしい!?
明治時代は、夏の普段着として定番化した「浴衣」だったはずだけれど…。
何で「おかしい」のかな?
「浴衣が普段着なのはおかしい!」というイメージ
先述の「呉服業界の高級路線ブランディング戦略」によって、今でも和装といえば高級なものと言う人たちが多くいます。
そして、それらの人たちは「浴衣は部屋着や寝間着なのであって、外出着ではないし、そんなの上品ではない」という思いが根強くあるんですね。
「浴衣が普段着なのはおかしい」というワケです!
世に言う「着物警察」なんかは、この部類。
こちらの記事で「着物警察」についても書いてます!
そもそも「着物全般が普段着なのはおかしい!」という人たち
そもそも「着物全般が普段着なのはおかしい!」という人たちもいます。
こちらは、「和装自体に慣れていない人たち」ですね!
新しい洋服のブームは受け入れるのに、こと着物となると「着物は特別な時に着るものだよね」とか、浴衣も「夏祭りや花火大会などのイベントで着るものだよね」となります。
そんな漠然としたイメージのみで、着物の普段着は受け入れないワケです。
下手すると変人扱い…。
ある意味、「着物警察」よりも意味がわからない人たちです。
また他方では、その大衆心理から「人が着る分にはいいけど、自分や身内が普段着扱いで着物を着る事に難色を示す」とう人もいると思います。
この辺については、普段着着物を始めた僕に対する家族の反応など、コチラの記事で紹介してます!
ファッションなんだから自由!
今の時代、洋服も多様性に富んできていますね!
ぶっちゃけ人に迷惑をかけなければいいんだと思います!
浴衣だって「部屋着なんだから」「寝間着なんだから」と萎縮せず、ファッションなんだから自由に楽しんでいいと!
ただ、反骨精神と言うか、「おかしい!」という人たちに対して「いやいやそんなことはない!」と、虚勢をはるように悪い方向へいってしまう人もいるかもしれません。
僕も初心者だった頃、そんなところがあったんですね…。
人の反対を気にしないでスルーするのが一番だけれど、過剰反応するのは要注意です。
次にそんな話もします。
ある体験で気づいたこと
ある企画展に、この写真のような浴衣で出掛けました。
洋服で言うところの「スウェット」くらいのイメージの浴衣で攻める(汗)!
気を付けたいことだよね!
「きもの展」に浴衣で行く
2020年夏に開催された、「東京国立博物館」での「きもの展」に浴衣で行きました。
このインスタ投稿は、その当時のものです!
この投稿の中で僕は、
「着物警察がいたら、もはや下着と言われそうな浴衣です。攻めてやりました。」
としています。
反抗心アリアリですね(笑)。
その時のコーデは、張り感なしの柔らかい木綿の浴衣。
下には肌着のみだし、体のラインは出るし、足袋も履かない、で雪駄。
例えるなら、夏の夕涼み、湯上がりで髪はまだ半乾きで、うちわを扇いでいる…、そんなイメージの格好です。
自由とは言えTPOは大切
その時は、「ファッションは自由だ!こんな感じで来たったぞー!」と、歌舞伎者よろしく風を切って歩いてきたワケです。
その時はそれでよかったのだけれど…。
後になって「なんて恥ずかしい事をしたのだ!」と、後悔する事になりました。
誰に何を言われたワケでもなくて、その後着物の事を沢山見聞きし、人のコーデを知る中で、冷静に過去の投稿を見て、自ら気付くに至ったんですね!
場所は由緒正しい上野の「東京国立博物館」、内容は注目イベントの「きもの展」。
周りを見れば、この夏の暑い中でも「正絹(しょうけん:絹)」などの高級感ある訪問着を、ガッチリ着込んでいる人ばかり。
別に初心者にそこまで求めないまでも、TPOを軽んじた行為だったのは言うまでもないですね。
ファッションは自由とは言えTPOは大切です!
TPOをミスらない着こなしとは!?
ここでは、浴衣が悪いと言っているワケではなくて、「TPOをもっと大切にしたい」と言う事。
恐らく不快に思った人もいたんじゃないかな(偏見からくる不快は別ですよ)?
洋服で言うなら、「Tシャツ短パン、寝間着のスウェット(下手するとバスローブ)で、企画展に行く」、そんなイメージ。
そんなTPOをミスる最大の理由は、洋服と違って浴衣(着物)のシルエットは、全て同じ形だというところかと。
見た目の違いはほとんどないワケです!
そして、こんな失敗をしない為の予防策は、場所や状況によって「浴衣(着物)の自らが許容出来る範囲を把握しておく」事!
細かい事を言い出したら(奥深くて)キリがないので、最低限でも、
- 生地のハリ感(洗濯のりでも大分違う)はどうか?
- 生地の素材や柄はどうか?
- 浴衣の下に何か着る(襦袢・シャツなど)事や足袋を履く事でどうか(着物風に着る)?
と、このあたりを抑えるのがいいと思います。
「心から楽しめたかどうか」が大切
何度も言うけれど、ファッションは自由!
でも、とは言え…だよね。
自らの許容ラインを決める!
大切なのは、「誰に言われたから」ではなく、自らの許容ラインを決める事なのだな、と今は思っています。
- お洒落なレストランに行くなら…
- 公共交通機関を使って遠出するなら…
- 近所を散策するなら…
- おうちで過ごすだけなら…
場所や状況により「この浴衣(着物)は自分ならここまでならOKだな〜」的な。
最適解は「心から楽しめたかどうか?」
一番良くないのは、先述の僕の体験のように「あれはマズかった…」と後悔してしまう事。
その時は良くても、後で自分の思い出が黒歴史になってしまいます。
「浴衣が普段着なのはおかしい?」かどうかの最適解は、「自らが心から楽しめたかどうか?」もしくは「いい思い出として残るかどうか?」の中にあり!です。
浴衣を普段着にするのは楽しい!
ともあれ、浴衣を実際に楽しんでいる僕から言える事。
「浴衣を普段着にするのは楽しい」と言う事に尽きる!
浴衣で外出をすると、新しい自分に会えるんですね。
自分の中に新しい発見をすると、日々がもっと楽しくなる!
「浴衣が普段着なのはおかしい!?」のまとめ
「浴衣が普段着なのはおかしい!」と言う人たちと「ファッションは自由!」と言う人たち。
- その議論の原因は時代背景ではないか
- その後者の立場で自らの経験から気付いた注意点
- 自らの着こなしの許容ラインを把握しよう
- 許容ラインの最適解は「心から楽しめたかどうか?」
などなど、お話ししてみました。
価値観の違いはあるのは当然、他人にとやかく言うべきではありません。
一方で、自分の心とは対話しつつ客観視することは、とても大切ですね!
ただ、自分の中での浴衣(着物)がどうあるかは、いっぱい着てみないと分からないかもしれません。
まずは、近所を散歩するところから、浴衣の普段着を初めて見ませんか?
ご覧いただき、ありがとうございました!