「SDGs」とは、日本も含めた国連加盟193か国によって採択された国際社会共通の持続可能な開発目標。
服飾業界はその目標達成に向けて、人権問題や環境負荷が非常に大きいことが問題視されています。
地球の未来のために、僕たちには何が出来るのか!?
結論は、衣類を選ぶ際に賢い消費者であること!!
そして、着物はその最適解の一つです!
ただ、着物がそうあるためには、課題があります。
今回は、「SDGs」と着物の相性がいい理由と課題について迫ります。
この記事にはこんなことを書いています!
- 「SDGs」ってそもそも何!?
- 「SDGs」と服飾業界の関係性
- 「SDGs」と着物が相性がいい理由
- 普段着着物ユーザーが増えれば問題解決!?
キーワードは「サスティナブル(持続可能なこと)」!
そして、着物はその成り立ちから最高にサスティナブルな衣服です!
「SDGs」とは?
「SDGs」ってどう読むの?
「エス・ディー・ジーズ」って読むよ!
「SDGs」は「持続可能な開発目標」の略称。
持続可能な開発目標
SDGsは2015年に国連サミットで、日本も含めた国連加盟193か国によって採択された国際社会共通の持続可能な開発目標。
期間を2016年〜2030年までの15年間とし、長期的な開発の指針を掲げています。
内容は、大きなくくりの「17の目標」と、それらを細分化した「169のターゲット(具体目標)」で構成されています。
「17の目標」と「169のターゲット」
「17の目標」とは…、
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公平をすべての人に
- パートナーシップで目標に達成しよう
これらの目標を、より具体的にしたものが「169のターゲット」となります。
「169のターゲット」については多岐にわたるので説明は割愛しますが、今回の記事に関係がありそうな項目をピックアップすると…、
例えば、「⑧働きがいも経済成長も」に、
「8.5 2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。」
「8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、全ての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。」
または、「⑫つくる責任つかう責任」なら、
「12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。」
「12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」
などなどがあります。
理想は「Win-Win-Win…」
地球とそこに存在する全てが将来(未来)に渡って、これまで通りにあり続けるために、私達はどうするべきなのか…。
世界は、地球の環境保全、人権問題、などなど多くの課題があります。
「SDGs」は世界で起こっているそれら課題、今後世界がどういった方向に進んでいくのか把握し、それぞれが互いに繋がっている感覚を共有しようとしています。
僕達はこの地球に住む一人として、世界の全ては繋がっていて、自らの小さな選択が「SDGs」達成に影響するという自覚を持つことが大切です。
何かの犠牲の上に、何かの一人勝ちがあるのはありえないし、理想は「Win-Win-Win…」なワケですね。
「SDGs」と一個人の僕たち
「何だか着物と何の関係あるか分からんし、一個人の僕には遠い話だなぁ」と思うなかれ。
現在、機関投資家(大規模な投資を行う人たち)のトレンドは「SDGs」!
企業側としては、それを当然無視出来ません。
そして、それら企業の労働者であったり、はたまた消費者であったりする僕たちも、関係は大アリだし、環境問題や人権問題も他人事ではないです!
例えば「サスティナブル(持続可能な)」と言えば、最近よく聞く言葉です。
それだけ、知らないところで浸透してきているんですね。
「SDGs」と服飾業界
どんなことが問題なの?
着物のみならず服飾業界の抱える問題とは?
着物スタイリスト「ブランカ」さんの投稿
僕が着物を好きになり楽しむ中、衝撃を受けた着物スタイリスト「ブランカ」さんのインスタグラム投稿。
色々考えるきっかけとなった投稿、僕の言葉足らずではうまく伝えられないかもなので、敢えて全文をご紹介します!
いかがでしょうか?
どんな思いが頭を横切りましたか?
ここからは、僕が感じた思いをまとめていきます!
「Fashion Revolution(ファッションレボリューション)」は、2013年4月24日バングラディシュで起きた8階建ての縫製工場の崩落事故(1,100人以上が死亡、2,500人以上が負傷した)をきっかけとしたグローバルキャンペーンです。
その縫製工場「ラナプラザ」では、安全を軽んじて増築された違法建築物の中、労働者は劣悪な環境下で低賃金の長時間労働を強いられていました。
そこで作られていたのは、大量生産・大量消費される衣服です。
問題意識を持った方たちが、「Who made my clothes?(わたしの服を作ったのは誰?)」を合言葉に発信をし続けています!
恥ずかしながら僕は、着物を通してアンテナを張る中、この事実を初めて認識しました。
まずは知ることから!
この記事が、僕のように誰かの気付きになれたら幸いです。
服飾業界の課題
これらの投稿から見える事…、
- 生産者の労働環境と賃金(収入)
- 資源調達から製造までの海外依存
- 生産コストの高さ
- 不透明な流通経路
- 化学(合成)繊維と環境問題
- 消費者としてどうあるべきか
といった課題が、ザッと言ってもこれだけありますね!
「SDGs」と服飾業界
これらの課題は、正に「SDGs」の目標に関わっていることだと気付くと思います。
また、一消費者である僕たちも、お店で手に取る服がここに至るまでの背景に思いを巡らすこと、知らない事をそのままにせず多くを学ぶこと、それらが大切なんだなぁ、とも。
「ただ安いから買って着る」という事が悪いと言うのではないけれど、まずは正しい知識を持って選択肢を広げることも大事であると考えるワケです。
一つ一つの賢い消費行動の積み重ねが、いつか服飾業界にも大きな影響を与えるのではないでしょうか?
「SDGs」と着物!
「SDGs」の「S」は…、
サスティナブルの「S」!
では、僕が「SDGs」を掲げる世界で僕が着物を推す理由と、その課題についてお話します!
着物は最高にサスティナブルな衣服?
サスティナブルとは、「持続可能な」という意味。
服の中でも(特に天然素材の)着物は最高にサスティナブルな衣類とされています。
長期間着られます。
- 子供の成長に合わせてサイズを変えられる
- 体重の増減に対して調整できる
構造的な良さもあります。
- 直線裁断で作られる(着物の制作過程では、端切れはほぼ出ません)
- 新しく作り直せる(着物を解くと長い長方形の反物に戻ります)
「SDGs」と着物は相性がいいはず…。
それなのに、なぜ着物を着る人は増えないのでしょうか?
着物における課題
サスティナブルな着物とは言え課題はあります。
ポリエステル着物を考える
普段着着物を選ぶ際、着心地・扱い易さ・お値頃感は大切です。
そうすると、ポリエステル(化繊)着物を選ぶ人が多いかも?
難点は着心地だけど、高額なものならある程度改善された生地も出てきたし、光沢感もあるので絹の代用品としても考えられます。
でも、環境負荷の観点からも考えたいところ。
ポリ素材は石油を使い、天然素材のように自然に戻らないし、チリが出れば環境に蓄積されます。
また、燃やせば大気汚染。
ただ、生活に深く入り込んでいるし、全てを否定出来ません。
天然素材になれば高額だし、そもそも僕の初めてのお誂えはポリ着物でした。
オーガニックコットンと木綿着物
天然素材はいろいろ在れど、ここでは綿(コットン)に注目します!
中でも「オーガニックコットン」について。
「オーガニックコットン」とは、
- 綿花栽培過程での水や農薬の過剰利用しない
- 製造工程での原料の精査や最小限の化学薬品の使用
- 全ての労働の安全や児童労働などの社会的規範
これらの厳格な認証を受けたコットンのこと。
環境保護意識の高い消費者の判断基準となります。
今の日本は綿の栽培から製造に至るまで海外に依存し、木綿着物も他人事ではないワケです。
しかし企業側としては、この認定を受けるにも高額になってしまい、導入が難しい側面も…。
導入すれば消費者にとって分かりやすいですが、そうもいかないのが現状です。
高額で強引な販売をする経営体質
現在、着物のユーザーが少なく、生産量も少ないです。
需要と供給のバランスや、不透明な価格設定で、着物は高額になりがち。
にも関わらず、和裁士などの職人さんは低賃金という現実もあります。
高額な着物では、ユーザーは増えないし、ユーザーが少なければ生産量が増えません。
昔ながらの高級志向な呉服店では、未だに高額で強引な販売をする経営体質。
少ない販売機会で収益を上げるためには、高額で売る術しか知りません。
着物初心者がそんなお店に入れば、その後どうなるか…。
着物が嫌いになり、また買いたいとは思わないでしょう?
着物業界従事者の高齢化と後継者問題
先に触れたように、和裁士などの職人さんは低賃金という現実。
若い世代で着物に興味があっても、これでは生活はできません。
結果、職人の高齢化と後継者不在という問題が起こることになります。
着物ユーザーとしては、お金を払うべきところは払う、適正価格で購入することも重要です。
一方、着物業界としては、購入者にその判断材料を示す、透明性を持たせる仕組み作りや姿勢が大切になってくると思います。
普段着着物ユーザーが増えれば問題解決!?
着物といえば「式服」のイメージをもつ人が多いです。
そもそも、戦前には着物は普段着だったはず。
着物のユーザーを増やすためには、式服のみならず「普段着扱い」をする事がポイントなのでは?と思うワケです。
着慣れて着物価格に相場観を養い、着物が手に届くまでのストーリーにも興味を持ちたいですね!
適正な着物の価格設定をすることで、ユーザーが増え、合わせて生産量も増えれば、引いては職人さんの賃金が是正されると思います。
下記の記事では、木綿着物を普段着扱いするための反物選びに触れています!
着物も選べる賢い消費者になろう!
こちらの記事でも紹介していますが、木綿の着物でも反物から仕立てようとすれば、最低でも3万円以上です(これでも企業努力で昔よりも安いのです)。
安いファストファッションに慣れている僕らは、この価格を高いと見るか安いと見るか…、難しいところです。
「SDGs」の言うところの「持続可能な」世界の実現には、コストパフォマンスに優れ環境にも配慮できる着物も選べる、賢い消費者にならなくては!ということですね!
「SDGsと着物!」のまとめ
「SDGs」は、国際社会共通の持続可能な開発目標。
大切な世界を守りたいよね!
そんな中、服飾業界はその目標達成に向けて、人権問題や環境負荷が非常に大きいワケです。
ユーザーサイドの僕らにとって、「サスティナブル(持続可能なこと)」な世界実現に向けて、衣類を選びで賢い消費者であることが大切で、着物はその最適解の一つです!
それは、着物はその成り立ちから最高にサスティナブルな衣服だから!
だだ、そんな着物にも多くの課題を抱えています。
そして、着物の課題解決の一つとして、普段着着物を楽しむことで状況を変えられるかも?とご提案しました!
ちなみに普段着着物に興味ある方は、コチラの記事もどうぞ!
着物文化の持続可能な世界に向けて、一緒に着物を着ませんか?
ご覧いただき、ありがとうございました!!